性感染症・STI・HIV/エイズ・HPV
  (性感染症という言葉は正確ではないので併記しています)

Q1:はじめて同士てもSTI・性感染症になるのですか?
A1:以前は「お互いがセックスもオーラルセックスもはじめてならうつることはないでしょう」と答えていました。
   しかし、それは大きな間違いでした。というか以下のことが知られていませんでした。
   男性のペニスにはセックスの経験がなくてもHPV(ヒトパピローマウイルス)が付着しています。
   女性の外陰部にもHPVが付着しています。
   お互いが初めてでも、HPV感染(STI)はお起こります。
   もちろんお風呂等で尖圭コンジローマをもらっている場合もあります。
   肝炎ウイルス(母子感染、経口感染、医療事故、等)をもっている人もいます。

   初体験同士は原則的にSTIは大丈夫ですと以前は思っていたのですが、そうではありません。
   そのことを「童貞と処女の性感染症」に書きました。

    よく、「HIVは? 万が一は? ここに書かれていない病気の場合は?」という質問が殺到します。
    神様ではないので万が一はわかりません。そこまでの保証はできかねます。
    不安なら検査をお受けください。



Q2:今日、クラミジアに感染する機会があったとしたら、何日後に検査をすれば、正確な結果がでますか?
A2:潜伏期間や発症しない(症状がでない)人がいることを考えると正解はないですね。
   症状が出た人は、それから検査を受けて下さい。
   症状が出ない人は、1ヶ月後に血液と尿の検査を受けて下さい。
     →ただし、検査で感染したことが確認されても「今日」の感染かはわかりません。
         →確認するためには一両日中にまずは血液検査を受けて下さい。
           今の結果と、1ヶ月後の結果を比べればいつの感染かがわかります。
   淋菌の場合は血液検査はなく、尿の検査で異常なしでも感染していることがあります。


Q3:尖圭コンジローマが心配です。症状が出る前の検査方法はありますか。
A3:ありません。症状が出たら早めに治療しましょう。


Q4:セックスで子宮がんになるって本当ですか?
A4:正確に理解しましょう。子宮頚癌の原因がHPV(ヒトパピローマウイルス)だということがわかりました。
   HPVは誰もが皮膚等に持っていて、それがセックスをした相手にでうつります。
   セックスをしないという方法以外に確実な予防方法はありません。
   コンドームで予防できない場合があります。
   男性が真性包茎の場合はセックスをしなくても自分の包皮内にHPVを持っている可能性があります。
   そのままでセックスをすると相手にHPVを感染させるリスクが高くなります。
   (もちろん本人が陰茎癌になる確率も高いですよ)
   仮性包茎の場合でもちゃんとむいて洗っていないと危険性は高まります。
   (もちろんむいて洗っていてもHPVを完全には除去できません)


Q5:HPVのワクチンはセックスをした人は受けても意味はないのですか?
A5:HPVワクチンはHPVに感染していない人にもHPVに感染している人にも効果があります。
   しかし、感染する前に受けた方がより効果が高いのは自明の理です。


Q6:HPVのワクチンは副作用が強いと聞いたのですが大丈夫でしょうか?
A6:HPVワクチンを打った後に障害(有害事象)が起こったという報告はあります。
   しかし、それがワクチンが原因の副作用なのか、それともワクチン接種の時期とその障害が
   発生する時期が偶然一致したのかの最終結論が出ていません。
   ただ、このワクチンの最終目標は何かを受ける前によく考えてください。

岩室紳也の考え方の一例を紹介します。
 1.目的の一つが子宮頸がん予防
 2.子宮頸がんの原因は男性のHPV
 3.男性の陰茎がんはペニスの清潔(ゴシゴシ洗い)でかなり防げる
 4.HPVワクチンの有効率は60〜70%
 5.HPVワクチンを打っても子宮頸がん健診は必要
 6.コンドームはHPV感染予防に有効
  →若い時は原則コンドーム
   →早目の出産を目指す
    →子宮頸がんを定期的に受ける
     →早期発見で子宮を失わずに済みます
      →避妊にコンドームが不要になったらHPV健診を定期的に受ける
   以上でワクチンなしでも子宮頸がんでは死にませんし、子宮を失わず出産できる可能性大。
   でも、これを全部は保障できないと思ったら・・・・・・。
   よ〜く考えて選択しましょう。


Q7:クンニやフェラでHIV(エイズウイルス)に感染しますか?
A7:よくある質問です。感染症に「絶対」ということはありません。病原体がそこにいて、感染経路(病原体をやり取りするルート)があれば当然のことながら「感染」のリスクはあります。ただ、私(岩室紳也)はクンニでの感染はまずはないと思っています。でも、「安心してしたいから保証しろ!」と言う人がいますが、それは無理ですよね。


Q8:傷にHIV(エイズウイルス)が付いたら感染しますか?
A8:近年、増えている質問です。1990年代のエイズパニックの頃はよく聞かれたのですが、最近はめっきり減っていました。しかし、近年、何故かこの手の質問が増えています。
  HIVに感染するということはHIVがその人の血液の中のCD4陽性リンパ球にたどり着き、その中で自分を増殖させる必要があります。すなわち、血管の中に入らなければ感染しません。傷口についても、血が出ている傷口なら、その血がHIVを洗い流してしまいます。傷口処置の基本はまずは(自分の血液とその後に流水等で)汚れを流すことですが、最近はすぐに止血をする人がいます。HIVだけではなく、いろんな病原体を中に入れる可能性があるので厳禁です。
  上記の理由から「血が出ている傷」ほど感染リスクが低いのです。ご安心ください。
  もちろん傷を縫う場合はちゃんと清潔にした上で縫うでしょうから、感染するはずがありません。