被災地に人工乳が多量に届けられようとしています。人工乳だけではインフラの崩壊した土地で安全に調乳し哺乳させることは困難であるばかりか下痢などの感染症を引き起こすかもしれません。オーストラリアの医師が先進国での被災地への乳児ケアのために大変具体的な支援キットを提唱しています。大変リーズナブルだと思いますので。とりあえず要旨のみ翻訳してお伝えします。 特筆すべきは消毒しにくいほ乳瓶はキットに含まれず哺乳用のコップとあります。 ここは紙コップでも十分です。 http://jalc-net.jp/ http://jalc-net.jp/cupfeeding2005.pdf Emergency preparedness for those who care for infants in developed country contexts 要旨抄訳:大山牧子 神奈川県立こども医療センター新生児科 <要旨> 災害管理機構は、たとえ先進工業国においても災害時においては 乳児は弱者 であることを認識している。しかしながら、これ までの乳児ケアにかかわる ものは災害時用キットに必要なも のについて述べていない。災害管理機構は 乳児ケアに関わる担当者に、災害時に乳児ケアに必要な支給品について、母乳で育てられている児と人工乳で育てられている児とを区別して、正確かつ詳細な情報を提供しなければならない。 人工乳で育てられている児をケアするひとは防災キットの支給品 と災害時における調乳の仕方を 知らされるべきである。授乳中の母子への支援キットに含まれる べきものとして以下があげられる。 ◆母乳だけで育っている児に必要な支給品(1週間分) ・紙おむつ100枚 ・お尻ふき200枚 ◆人工乳だけで育っている児に必要な支給品(1週間分) ・粉ミルク900gの缶2つ ・飲料水170L(1日24Lとして計算) ・保存容器(蓋付きでつぶれない固さのもの) ・蓋付きの大きな鍋(器具を煮沸消毒するためのもの) ・やかん ・ガスコンロ ・マッチまたはライター ・LPG14kg(カセットボンベなど) ・計量カップ(お湯を量るためのもの。消毒できるように耐熱性のものがよい) ・金属ナイフ(粉ミルクを量るとき、平らにするのに使う) ・金属製のトング ・金属か陶器のカップ(訳者注:紙コップを使いすてにしてもよい) ・大きめのペーパータオル300枚(手や器具を拭くため) ・洗剤 ・おむつ100枚 ・お尻ふき200枚 緊急時だからこそ、感染症予防のために人工乳で育てられている子どもが衛 生的に調乳されたものを与えられるべきであり、緊急時だからこそ、感染症 予防のために母乳だけで育てられている子どもが継続して母乳で育てられる ことが推進されるべきである。 緊急時に母乳だけで育てられてるこどもの割合が多ければ多いほど、そのとき人工乳で育てられている子どもに支援をさしのべることができる。 引用元 Draft Document:Emergency preparedness for those who care for infants in developed country contexts Gribble KD, School of Nursing and Midwifery,University of Western Sydney Berry,NJ, Centre for Health Initiatives, University of Wollongong |
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